粋なオトコの溜まり場 〜ホテルのバー編〜

ニューヨークの街を歩いていると、多くの人と遭遇する。
その中でファッションに気を遣っているのは、ほんの一部だけで、大多数がTシャツ+デニムのようなラフな格好。しかも手には“Thank you”と書かれた大衆マーケットのビニール袋を持っていたり。

では、お洒落な男性はどこにいるのか。
ニューヨークに来たら、ぜひ訪れてほしい場所がある。

まずは、セント・レジス・ホテル内にあるKing Cole Bar。
ここは、政治家や文化人、金融業界のビジネスマンたちが仕事後に駆けつける場所。カクテル“ブラッディメアリー”が生まれた場所としても有名。トマトの優しい甘みとピリっと効いたスパイスがなんとも濃厚で!
一度飲んだら、おそらく生涯忘れないだろうと思えるほど、脳内に心地よい刺激を与えてくれる。バーカウンター後ろにドーンと飾られたマックスフィールド・パリッシュの壁画も圧巻。思わずクラクラしてしまう。
10人ほどでいっぱいになるカウンター席では、仕立てのよいスーツに身を包んだ紳士たちが、談笑している。ほんのり光沢のあるシルク混生地、クラシカルなグレンチェック柄、丁寧に磨かれた上質レザーのローファー…、仕事のデキるニューヨーカーに混ざるなら、ここへ。

次にノマド・ホテルに併設されているNomad Bar。
ここに集うのは、フリーランスのジャーナリストやクリエイター、音楽関係者etc.。個性溢れるべっ甲ラウンドメガネやミリタリーシャツなど、粋なカジュアルスタイルを楽しむ彼ららしい、自由な雰囲気がある。
内装は、レスラン、バーカウンター、ライブラリーなど、いくつかの空間に仕切られていて、パリのホテルコストを手がけたジャック・ガルシアらしいスノッブな感じ。ホテルのロゴが刻印されたアイスキューブや、ユニークな名前のオリジナルカクテルも手伝い、毎週末大にぎわい。まったりとした刺激がほしい夜に訪れたい。

最後にオススメしたいのが、カーライル・ホテルにあるBemelmans Bar。
アッパーイーストに佇むこの地には、ジョン・F・ケネディを筆頭に、歴代大統領や映画スターが足繁く通ったと言われている。
重厚感のある扉をくぐると、そこに広がるのはなんとも幻想的な空間。ランプ、壁…、辺り一面に動物たちのイラストが描かれていて、あたかも洞窟に迷い込んだかのような錯覚に陥る。ちなみにこれ、絵本作家ベーメルマンスによるもので、セントラルパークでピクニックをするうさぎやアイススケートを楽しむ象など、実にニューヨークらしい。毎夜行われるジャズの生演奏には、ご近所に住むウッディ・アレンが普段着のまま、ふらっとクラリネットを演奏しに来たり、突然誰もが知る曲がかかり、観客を含めての大合唱が始まったり…! アッパーイーストの住人たちの社交場でありながら、気取らないアットホームな雰囲気が魅力的。ジレを重ねたり、ポケットチーフを挿す、さり気なく品のよいスタイルも見逃せない。

音楽、ファッション、生き方…
私が思うに、ニューヨーカーは、そのすべての好みがはっきりとしている。
だからこそ、同じような雰囲気を持った人たちが1つのバーに集まったりする。
旅行で訪れようと、住んでいようと、せっかくなら、その場所に合ったファッションを思いっきり楽しみたい。

PROFILEプロフィール

横山理恵 ー Rie Yokoyamaファッションエディター

大学卒業後、アパレル会社に就職。その後、ヨーロッパの歳を重ねるほどにカッコよさを増していく大人たちに憧れ、ファッション誌編集者を志す。NIKITA編集部勤務後、フリーランスエディターに。雑誌Domani、VERY、LEONの他、ファッションカタログに携わり、現在、ニューヨークに留学中。FIT(N Y州立ファッション工科大学)にて、ファッションビジネス、ハットデザインを学ぶ。女性誌Domani(小学館)にて『meは何しにN.Y.へ?』連載中。

横山理恵

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