ゴルフと紳士の品格

降りそそぐ太陽。青みが深まる新緑。この爽やかな陽気を肌で感じると、頭に過ぎる言葉はいつも同じ……。「ゴルフに行きたい!」そうなのです。私、ついにゴルフに目覚めてしまったのです。家族みんながゴルフをたしなむ環境で育ったにも関わらず、これまでどれだけ誘われようと頑なに拒んできたゴルフ。「止まっている球を打つなんてつまらない」なんて食わず(打たず?)嫌いをしてきました。いざ始めてみるとその奥の深さに惹きつけられてしまって、もう毎日でも行きたいくらい。ゴルフに恋してしまったのかもしれません。前半は調子がよかったのに、後半はメタメタ。その逆もまたしかり。恋もゴルフもドラマティックなほうが燃えあがりますね。練習場ではカンタンに打てていたのに、コースに出るとどうしてこんなに難しいんだろうとモヤモヤしていると、プレーをご一緒したベテランの男性がこんな言葉をかけてくれたのです。「ゴルフは人生と同じなんだよ。全体を見渡せば、ボールをカップに入れるなんて簡単そうに見えるかもしれないけれど、思うようにはいかない。右に行くときもあれば左に行くときもある。その時々で目の前の景色は変わり、新しい試練が待ち受けている。それを一打一打乗り越えて行くのがゴルフなんだ」その深い言葉に、人生山あり谷ありの私は「あぁ、なるほどな」と妙に納得したのでした。それからは、心身がリフレッシュする楽しいゴルフを心がけています。

ゴルフという人生をどう乗り越えて行くか、そのプレーには人柄や性格がよく表れます。一打一打に一喜一憂しながらも、堅実なプレーで着実に良いスコアを重ねる人やスコアが良くなくても楽しければそれでいいという人。一方で、スコアを意識しすぎるあまり無口になる人や終始イライラしてしまう人もいます。プレースタイルを見れば、その人の生き方や仕事、恋愛のスタイルまで透けて見えてしまいそうですね。どんな結果であっても、相手に気遣いができてプレーを楽しむ心の余裕のある人はやはり素敵です。不思議とこちらも楽しくなってきます。「ゴルフは紳士のスポーツだ」と云われるように、その歴史を紐といてみると、世界最古のゴルフ倶楽部が誕生したのは1744年、スコットランド・エジンバラにあったゴルフ場「リース・リンクス」の「the Gentlemen Golfers of Edinburgh」でした。これは後の「The Honourable Company of Edinburgh Golfers(ミュアフィールド)」であり、フリーメイソンによって設立されたと云われています。ちょうどイギリスで産業革命が始まったのは18世紀末から。スーツの原型であるフロックコートが誕生したのは19世紀に入ってからなので、ゴルフはまさに資本主義時代の上流階級を象徴するスポーツでした。プレー中やクラブハウスでのルールやマナーが守れるかどうか、相手への気遣いができるか、昔も今も変わらずに紳士の”礼節”が求められる理由はここにあります。また、今ではカジュアルになりましたが、まだまだ名門と呼ばれる俱楽部ではクラブハウス内はジャケット・衿付きのシャツを着用、脱帽など厳格なドレスコードも残っています。これは男性がスーツを着る理由と同じです。せっかく老若男女が一緒に楽しめるスポーツなのだから、ぜひ心の余裕をもってお互いに気遣い合える、品格あるプレーで人生のホールインワンをめざしたいものですね。(私はまずはパーをめざします…)

PROFILEプロフィール

中里 彩 ー Aya Nakazatoテーラーアプレンティス

1992年生まれ。エジプト考古学者を志して、大学では考古学を専攻。一方で、メンズのテーラード服に惚れこみ、在学中から熟練の職人の元でテーラリングを学ぶ。卒業後は、ファッション業界に限らず、複数の事業を展開。縮小していく職人の手仕事を支えたいという強い思いから、現在ブランド・プロダクトのプロデュースを準備中。ファッションスタイリング、執筆活動なども開始。
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中里彩

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