ニューヨーク、ビジネスマンの散髪事情

ここ数年、ニューヨークで巻き起こっているバーバーブーム。
日本で床屋といえば、“お洒落に気を遣わないオジサン”とか“コワモテなバイカー”イメージが強いけど、ここマンハッタンでは一味違う。ビジネスの第一線で活躍するニューヨーカーの多くが今、ヘアサロンでなく、バーバーを好んでいる。ウォール街の金融マンも、敏腕弁護士も、アートディーラーも。

ーーーその理由は、男のためだけの特別な場所だから。

かつてニューヨークの星付きホテルには、必ずバーバーが併設されていたという。髪を整えながら、良いテーラーや車、知る人ぞ知るレストランなど、粋な話をする。そんな"社交場”としての意味合いがあった。当時のようなクラシカルな場所は少なくなったが、ここ数年で、スピークイージー(隠れ家バー)やコーヒーショップを併設したり、アロマシャンプーやキャンドル等オリジナルプロダクツを展開したり、服屋の一角にひっそり佇む、コンセプト型バーバーが格段に増えた。それをきっかけに、センスのよい大人たちが集まるようになったのだ。

少し前に起きた"ノームコア"ブームも、これを手伝った。余計なものを減らし、極上のシンプルを目指す人が増えたのだ。バーバー帰りの髪型は、シンプルであり、清潔感もある。見た目のプレゼン力が重要視されるお国柄か、この普通なようでいて何か違う、"ちゃんと整えてます”感がビジネスに功を奏する。だから重要なプレゼン前に必ず立ち寄るという人も多い。また、極上のシンプルさゆえ、毎朝1分でスタイルが再現できるのが、忙しいニューヨーカーには嬉しいかぎり。

ここで、日本人ビジネスマンにオススメのバーバーをピックアップしてみよう。

まずは、マンハッタン随一の高級住宅街、アッパーイーストサイドに佇むPaul Mole。1913年創業という、ニューヨークイチの老舗。男を磨く場所として、映画スターや歴代大統領が息子を連れて通ったという噂の場所は、紳士たちのサロン的役割を担っている。重厚感のある扉をくぐると、まず、タイドアップしたスタッフがお出迎え。まるで古き良き時代にタイムスリップしたかのような雰囲気の中、育ちのよさを感じるスタイルに仕上げてくれる。

続いて、さっぱりとした小ぎれいさを求めるなら、バーニーズ ニューヨーク内のBlind Barberへ。バーバーブームを再燃させたスピークイージー(隠れ家バー)併設のイーストビレッジ店も必見だが、おそらく日本人男性にはよりキレイめなバーニーズ店がトライしやすい。雑誌メンズクラブやUOMO読者、万人ウケする爽やかさを求める方におすすめしたい。

TVプロデューサーやアーティスト、サーファーに人気なのが、エースホテル隣にあるRudy's Barbershop。無骨な雰囲気の店内は、ひと味違った個性を求める男たちで賑わっている。無造作でラフさの残るスタイルが得意で、一度行くと、他には通えなくなる人続出中。オリジナルのTシャツや海上がりのニュアンスを作れるクレイスプレーが人気で、NY土産にする人も多いそう。

さぁ、ニューヨークに着き、まずバーバーを訪れてみるのはどうだろう。
熱々に蒸されたホットタオルや髭のトリムは、フライト疲れを解消してくれるし、ニューヨークを知り尽くした男たちから秘密の情報も聞ける。そして何より男の佇まいがグッと上がる場所なのだから。

PROFILEプロフィール

横山理恵 ー Rie Yokoyamaファッションエディター

大学卒業後、アパレル会社に就職。その後、ヨーロッパの歳を重ねるほどにカッコよさを増していく大人たちに憧れ、ファッション誌編集者を志す。NIKITA編集部勤務後、フリーランスエディターに。雑誌Domani、VERY、LEONの他、ファッションカタログに携わり、現在、ニューヨークに留学中。FIT(N Y州立ファッション工科大学)にて、ファッションビジネス、ハットデザインを学ぶ。女性誌Domani(小学館)にて『meは何しにN.Y.へ?』連載中。

横山理恵

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