MADE IN JAPAN 世界に誇る

Vol.05 小山薫堂 KUNDO KOYAMA 放送作家・脚本家 PHOTO:NAOAKI WATANABE(depo)、TEXT:HIROMI HARA(dig)


今回のゲストは、斬新な視点をもってさまざま企画を生み出し続ける放送作家・脚本家の小山薫堂氏。日本をテーマにした多くのプロジェクトに携わる同氏に、メイドインジャパンの魅力について改めて伺った。対談のお相手は、写真集『JAPANESE DANDY』のプロデューサー・河合正人氏。

01.“使い手”のことを考えたものづくり。


ー 日本を題材にしたさまざまなプロジェクトに参加されていますが、薫堂さんが考える“日本製”の魅力について教えてください。

小山 “作り手”が“使い手”のことをしっかり考えてものづくりをしていることだと思います。日本の職人さんは、人を「感動させたい」「喜ばせたい」「幸せにしたい」という想いを持ってものづくりをされていますよね。そういった精神的な前提があるうえで、日本人というのはとても器用であり、手を抜かず、追及する姿勢があるので、非常にクオリティの高いものができあがるんだと思います。

河合 国内に向けた商品も海外に向けた商品も、変わらず同じスタンスで作られているんでしょうね。

小山 そうですね。先日とある蒔絵の作家さんにお会いしたときに、ご自身の創作について「200年後に生きる人も感動させなくてはいけない」とおっしゃっていました。自分が生きている時代だけではなく、時代を超えた先のことまでを考えて仕事をしているんですよ。本当にすごいことだなと感心しました。

ー 河合さんは日本製についてどう思われますか?

河合 非常に優れていると思いますね。僕の周りには、職人(テーラー)になりたいという方もいますし、実際に海外に修行に行って、日本に帰ってきてお店を経営されている方もいらっしゃいます。やはりスーツは西洋のものですから、向こうの技術を吸収しながら自分の服を作っていきたいという方が多いようです。反対に、日本の職人が向こうの伝統を継いでいくというケースもありますね。日本の職人さんは勤勉で腕の立つ方が多いので、向こうでも快く受け入れられるんだと思いますよ。

小山 料理も顕著ですよね。例えば、ナポリピッツァ協会の世界選手権で優勝する方も最近は日本人が多いですし、フランスやイタリアの星付きレストランのスーシェフも日本の方が多いですよね。スーツの生地については、やはり向こうのものが良いんですか?

河合 そうとは限らないですね。日本の生地には、国産ならではの良さがありますし、イタリアの生地は艶がありしなやかですよね。そこは好みでいいと思うんですよ。ビジネスマンの方が長く着るならしっかりした国産の生地を、遊びで軽いものを着たいならイタリアの生地を選べばいいんじゃないでしょうか。

02.湯の道によって心を温める。


ー 最近注目している日本の職人さんはいらっしゃいますか?

小山 伝統工芸の番組をやらせていただいてるんですけど、そこでお会いした藍染の職人さんや桶を作る職人さんが印象的でしたね。あと最近、湯の道と書いて“湯道”というプロジェクトをやっておりまして(笑)。

ー 華道や茶道ではなく湯道ですか?

小山 華道でも茶道でもなく湯道です(笑)。このプロジェクトには3つの目的がありまして、ひとつは目の前にある水に「感謝する」ということ。飲むことができる水をわざわざ沸してその中に入る国って地球上にあまりないですよね? 日本人ってなんて贅沢なことをしているんだという思いから、まずは水に感謝する。2つ目に「慮る心を磨く」。お風呂って自分が入った後に誰かが入りますし、共同浴場でしたら自分が洗っている横にどなたかいらっしゃると思うので、そういった他者を慮る気持ちを磨くということです。最後に日本の手仕事や伝統工芸を「守る」というミッションがあります。やはり茶道によって守られている職人さんがいらっしゃったり、あるいは祇園花街が存在することによって芸妓さんが活躍されてますよね。湯道を作ることによって、それに関わる職人さんたちが、新たに何かを生み出すきっかけになったらいいなと思っております。例えば、京都の瓦(京瓦)職人さんがお風呂で使う何かを道具として作ったりですとか。日用品の大量生産やコスト的に高いものは厳しいかもしれませんが、御道具になった瞬間に比較的高くしても許されますし、むしろ高い方が価値がでることだってあると思うんですよね。

河合 湯道おもしろいですね。作法を伴い、お風呂に入ったりするんですかね(笑)?

小山 現在お湯室というのを作っております(笑)。京都にある大徳寺真珠庵の住職にお願いして“湯道温心”という軸を書いていただいたんですよ。湯の道によって心を温めるという意味で。このプロジェクトには、住職をはじめ、職人さんや華道家さん、建築家、デザイナーといろんな方に参加していただけたらいいなと思っております。

PROFILE プロフィール

PROFILEプロフィール

小山薫堂 ー KUNDO KOYAMA放送作家・脚本家

1964年、熊本県生まれ。N35inc代表、オレンジ・アンド・パートナーズ代表取締役、下鴨茶寮主人、東北芸術工科大学企画構想学科長。日本大学芸術学部在籍中に放送作家として活動開始。『料理の鉄人』『カノッサの屈辱』等、斬新なテレビ番組を数多く企画。初脚本となる映画『おくりびと』では第81回米アカデミー賞外国語部門賞獲得。熊本県の人気キャラクター『くまもん』の生みの親としても知られる。その他、書籍・雑誌での執筆、ラジオ番組の出演、企業コンサル、地域活性キャンペーン、飲食店プロデュースなど、幅広い分野で活躍している。

GUEST対談ゲスト

河合正人 ー Masato Kawai

1958年、京都生まれ。フラワーコーディネーター、ファッションプロデューサー。1986年、河合正人花事務所を設立。広告、雑誌、イベントでの制作を中心に活動。フラワーコーディネートで農林大臣賞を受賞、その他受賞歴多数。1994年、写真集『FLOWERS』を出版。2012年に、大川直人氏と2冊目となる『FLOWERS』を出版。

河合正人氏がプロデュース&ディレクションを務める
『JAPANESE DANDY』写真 大川直人
「第46回講談社文化出版賞」にノミネート。10代~90代まで、第一線で活躍している日本人、時代をつくった男たち、130人の男の肖像を撮り下ろし。写真で語る、魅せる男の「ダンディズム」。テーラードスタイル好きの女性も必見!
Official Sitehttp://japanesedandy.com/


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